今日のわたし
老後の道づれワン(一匹)とツー(二人)

 うちは早起きなのです。私は5時、夫は5時20分。実は犬の散歩があるからです。夫も私も9時には働きに出るので、逆算すると5時半に散歩に出ないと間に合いません。ですから私は5時起きです(夜10時には寝るようにしているので睡眠時間は足りている)。
 そして朝のうちに洗濯も、部屋の片づけも、夕飯の一品や下ごしらえもしてしまいます。
 夕方は7時半ごろに帰ってきて、夫が散歩をして私が夕飯を用意します。で、食べ終わると9時にはなっている。それから家事をするのはいささかつらい。朝のほうが体力があるからはかどります。
 朝の5時半は、夏は明るいので問題はありませんが、冬は真っ暗で心細い。懐中電灯を持って出ないと、うんちのこぼれだって始末できません。犬にもチッカチカ光る首輪をさせます。なにやら犬の散歩ごときに大騒ぎでしょ。実はうちの犬は黒のラブラドールレトリーバー(以下黒ラブ)なのです。暗闇じゃ、見えません。見えないとわれわれも犬の散歩の実感が薄らいでしまって、この寒いのに朝から散歩が嫌になるにちがいないのです。愛犬が見えているとかわいい感情で、胸の中が温かいから、雪が降ろうが平気なんだと思う。
 でも、はっきりいって世話は大変。そのことは飼う前に少しはわかっていました。それでも飼ったのは、われわれにはラストチャンスだったからでした。前々から黒ラブを飼いたかったのでしたが、仕事をしているし、海外に出かけることも多かったので、無理とあきらめていました。いずれ余裕ができたらと思っていました。
 55歳の時、友達の黒ラブに子犬が生まれて、飼わないかと声がかかってきました。
 犬の寿命を15年とすると、15年後、私達は70歳。犬の世話ができるぎりぎりの年齢。この機会をのがしたら、一生犬は飼えないことに気づいたのでした。だから夫と話し合って二人で協力して飼う決心をしたのでした。
 ところがこの黒ラブ犬、名うてのやんちゃ犬だったのでした。イエローはもっとおとなしいのですよ。なぜか黒ラブは手なずけるのが容易じゃないのでした。50代じゃなかったら、戦えなかったと思う。
 そのぶんかわいい。というか、手がかかるのとかわいいのとは比例していると思う。私、つい抱きついてしまうほどです。大きい(32キロ)ので抱きあげることができないのは残念だけど、抱いても嫌がりません。じっとおとなしくしています。抱いているとじくじく幸せな気持ちになります。
 夫とだって今や抱き合う習慣はありませんから、犬を飼わなかったら、気持ちがいやされる体温に、もう気づくことはなかったと思うのです。だから犬を飼って健康になりました。朝の散歩で体調が整い、ぬくもりで気持ちのバランスも整うのですから。
 それは私ばかりじゃなく夫もそうだと思います。短気な性格でしたが、がみがみいうことが少なくなりましたもの。犬を飼ってから私たちは夫婦げんかをしません。お互いにすごーくやさしくなったと思う。だから雨が降ろうが風が吹こうが、毎日毎日犬のために早起きができるのです。
 さーて、あしたも早いから今晩のおしゃべりはこのへんで。オヤスミナサイ!

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