今日のわたし
後ろにも、人の目はあるから





 バックシャンという言葉はかれこれ35年ぐらい前のおしゃれ用語と思います。後ろ(バック・英語)も美しい(シャン・独語)の意味です。もちろん造語なんでしょう。
 大学生時代私はおしゃれが大好きだったので、友達になる人はバックシャンでおしゃれ上手でした。当時ワンピースのウェストにする共布ベルトもスカートにする革のベルトも、後ろにバックルをまわしてしていました。Vネックのセーターを、下にシャツを着ないで、後ろ前に着て背にV開きがくるようにし、背中を見せていた人もいました。『麗しのサブリナ』でオードリー・ヘップバーンが、サブリナパンツの上に着ていたセーターを真似てのことだったのかもしれません。また後ろにボタンが並んだジレやブラウスも大流行りしてました。当時はいかに後ろ姿を恰好よく、バックシャンに見せるかにこだわっていたのです。
 街中で私は人の後ろ姿をチロリヂロリと見ます。気になる人の後ろ姿は必ず。時々自分でも嫌な目つきと思う程、不躾にです。一種の盗み見ですから、ちょいと良心もとがめますが。
 それで後ろ姿が前と同じくらい魅力的な人ってあまりいないのです。まあ、後ろ姿を見て追いぬいても前を見たい人は、よっぽど脚がきれいとかスタイルがいい人です。やっぱり顔も見てみたいじゃないですか。
 人の後ろ姿を見て勉強をすることは多いのです。パンティの線がスカートに出てる、しまらない中年のお尻の形、腕のひじのしわ等々を、自分はどうするか。外出する時、鏡で後ろ姿をチェックしようと思いますもの。

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