特集 A.でおしゃれ
第1話 ふだんのおしゃれが楽しくなる服
  • 「大学の卒業間際、私はファッションイラストレーターになりたくて、そのためにはまずデザイナーになることだと考えたんです。当時好きだったアイビースタイルの男たちを描き、友人に紹介してもらってヴァンヂャケットに売り込みに行きました。そうしたらイラストを採用してもらえた。そのとき「メンズクラブ」に掲載されたのがこれ。初仕事となりました。1964年のことです」。
  • 1964年創刊号の週刊「平凡パンチ」の表紙。創刊以来8年間担当したカバーイラスト。最初の3年間にはアイビーファッションに身を包んだおしゃれな男たちの群像が描かれています。(「平凡パンチ 大橋歩表紙集」より)
  • A.のデザイン画ができるとパターンをおこしてもらいます。「まじめなんだけど、まじめだけじゃない。カジュアルなんだけど、どこかぴりっとしている。そのあたりのニュアンスを大事にしています」とパタンナーの平野さん。
  • 2013年春夏もののフルラインナップです。ジャケットが2型、オックスフォードのボタンダウン(BD)シャツ、そしてチノパンツが1型2色。2012年秋冬と同じ5着ですが、何通りもの組み合わせができます。また、デニムやTシャツなどとのコーディネートもしやすい。
男の人のファッションが好き
 A. がスタートしたのは昨年2012年の秋冬ものから。この時も、2013年の春夏ものも、服の数は5つ。小さなブランドですが、大橋にとっては、ずっとやってみたかったことがかたちになった、とてもうれしいできごとでした。
 「イラストレーターの仕事もおしゃれな男の子の絵から出発していて、そのころからメンズの服に関心がありました。当時(60年代前半)大人気だったアイビーファッションが好きで、男に生まれていれば着られたのに、と思っていたんです」。
 ベーシックが基本で、それに今の時代を取り入れた男性のスタイルが好きなのはずっと変わらないし、結婚してからは夫や息子の服をよく買って着せていた、と大橋。
 「私の趣味のひとつというか(笑)、おもしろくて続けていました。そんなだからa. はレディースだけでスタートしたけれど、メンズをつくりたいという気持ちはじめからあったんです。でも今の自分たちの販売力ではむつかしいとあきらめていました」。
 それだけに「ほぼ日」さんから「メンズをつくりませんか」というお話をいただいたときはうれしかったと言います。「いっしょならできるかも」と作る決心をしました。「平凡パンチ」の表紙のイラストを手がけてから実に半世紀後の、新しい、けれど続けて来たからこそのチャレンジです。
  • 30代代表はスタッフの阿部。スキニーパンツやサルエルパンツをはくことが多いというモード系男子ですが、これも自然に着こなせています。おしゃれが好きだからでしょうか。身長173㎝。
  • オックスフォードの「BDシャツ」の上に重ねたのは「裏毛ジャケット」。「襟のところにあるボタンまでとめて着ることもあります」。紺、白、ブルーと色あわせもさわやか。
  • 左のジャケットをジップアップの「カットソージャケット」に変えてみました。前のファスナーは閉じても。「白のチノパンツ」は「いつもはいているパンツに比べるとゆったり。ストレスがありません」。
  • 40代代表はスタッフの石井。体を動かすのが好きなスポーツアパレルウエア系男子ですが、A.を着はじめて「いいねえ」を連発。本人も気に入っているようです。ブルーのスニーカーがアクセントになっています。身長165㎝。
  • 2012年秋冬のコーディネート。「ジャケットを着慣れていない僕でもこれは借りて着た感がない。ちょっとした打ち合わせはこれで出かけます」。ジャケットは今年の春夏ものと同じ型で素材違いです。
  • 「白のチノパンツ」を下げて腰ばきにしています。中に「クロスTシャツ」。紺色の「裏毛ジャケット」はちょっとした打ち合わせからこんなちょいユルな着こなしまで対応できます。
  • (左)「カットソージャケット」に「ベージュのチノパンツ」をあわせて。ジャケットは細身の仕立て。ファスナーを閉めるとぐんとコンパクトになり、ゆったりしたパンツとの対比がおしゃれです。

    (右)チノパンツの後ろ姿。「僕は運動しているので下半身がしっかりしているけれど、A.のパンツはヒップと太ももまわりがゆったりしていてはき心地がいい。それでいて見た目はきゅっとスリムに見えるのが嬉しいです」とのこと。
  • 70代代表は彫刻家男子です。30代、40代と同じ「BDシャツ」+「ベージュのチノパン」を愛用。シャツは着丈も袖丈も長過ぎず短すぎず。身幅も大きすぎず狭すぎず。「とても「ふつう」で着やすい」。身長172㎝。
  • 「BDシャツ」はボタンを上までしめるのと、開けるので雰囲気が変わります。しめて着るきちんと感もいいけれど、開けるとボタンのところについた動物の足のプリントネームがのぞきます。
  • 上に紺の「裏毛ジャケット」を重ねました。「テーラードの形だけれど、素材が柔らかいから体になじんで着やすいなあ」。チノパンも「見た目よりはいてみるとゆったりしてはきやすい」。
  • (左)黒の「カットソージャケット」、「BDシャツ」、「白のチノパンツ」「黒のスニーカー」とメリハリの利いたコーディネートが若々しく見えます。「ジャケットはとても軽い。気軽にさっとはおれる感じがいいですね」。

    (右)A.のロゴです。登場回数の多いBDシャツは、昨年の秋冬に引き続いて登場。夏向きの薄手のオックスフォード。肌触りのいい生地です。
若い人から大人まで着られる服
 「ほぼ日さんはいつもそうなんですが、好きなものを自由につくってください、と言ってくださる。それがいいんです」。
 つくりたいとおもったのは、流行を加味したベーシックな服。すごくよそいきではなく、普段のおしゃれが楽しくなる服。そして若い人から大人まで着てもらえる服。
 イメージをデザイン画におこして、パタンナーさんに伝えて、生地を探して、サンプルチェックをして…。
 「実際につくりはじめたら、ベーシックな服だからこそ、生地や着心地、シルエットにその良さがかかっている。それがいかに難しいことか、改めて知りました」
 a. もたーいへんですが、A. はもっとたーいへん!の連続でした。
 「でも、最初に作ったヒッコリーのパンツの『ヒップから太ももまわりが楽ちんで履きやすかったから』と今シーズンもリピートしてくださった方がいらして。それがとても嬉しかったですね。こうして続けて買ってくれる人が増えるようにがんばろうと思っています」。
 もうひとつうれしい傾向も。スタッフや大橋のまわりの男性たちのファッションが最近かわってきたのです!
 「30代、40代、70代。年齢も体つきも違う人たちなのに、A. を着るとそれぞれにさまになっているんです。それを見ていると男の人にとってもおしゃれは大事だなあ、と実感しました。だって着るものでハンサムになれるんだもの」。 
 その“ハンサムぶり”を写真でご覧下さい!
 今シーズンの服を中心に着ています。
 
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