特集 entoanの新しい靴
第2話 定番の靴のこと
 
「スリッポン」
 entoanをはじめた頃からある定番のスリッポンです。
 シンプルな中にもアクセントがある靴が作りたいと思いこの靴が完成しました。そしてシンプルだからこそ大切なのが素材です。スリッポンに使用している革は、イタリアのトスカーナにあるバダラッシ社が作る植物タンニンなめしの革を使用しています。
 微妙なカットラインの変更などを行いようやく今のかたちに仕上がりました。暑い夏には素足で、秋や冬には、お気に入りの靴下と合わせて履いていただきたいと思っています。
 中底の素材が革なので、履いていくと自分の足の形に沈んできて甲周りに少しゆとりができます。なので、最初は窮屈かもしれませんがピッタリサイズのものをお選びください。紐がない靴なのでサイズ選びがとても難しいデザインの靴です。試着をして自分の足と合わないと感じた方にはあまりおススメはできません。中敷きの厚さや形状などで微調整はできるのでご相談ください。
「レースアップブーツ」
 ボリュームのある、ガッチリしたブーツだけれど、スカートに合うようなブーツを作りたいと思いこの「レースアップブーツ」を作りました。本格的な作りにはしたいけれど、男っぽくなりすぎてメンズのブーツのようになりすぎるのもいやだなぁと思っていました。そこで、ところどころに丸みを持たせることにしました。ヒールの丸み、ソールの丸みなどです。この丸みはハンマーで叩いてだしているので歪です。
 ソールがとても厚く、アッパーの革も厚くしっかりしているため足になじむまでは大変かもしれません。しかし、足になじむとブーツ特有のフィット感のある履き心地に変化していきます。過酷な環境にも耐えられる作り、修理がしやすい構造になっており、アッパーの素材もオイルを多く含んだ革になっています。
 ブーツを履きなれていない方は脱ぎ履きが面倒かもしれませんが、履いてしまえば快適です。あまり細かいことは気にせずガンガンはいてたまにオイルを塗ってやる。その一方でロングスカートに合わせるなど、女性ならではの履き方も楽しんでもらいたいです。
「丸いパンプス」
 シンプルで履くほどにかっこよくなるパンプスをつくりました。靴の勉強を始めた頃は、エレガンスなパンプスが好きでよくデザイン画などを描いていましたが、今ではここに並んでいるような靴を作っています。entoan唯一のパンプスになります。
 アッパーはシンプルなものにしたかったので、手縫い部分以外は飾りなど無駄なものをつけずに仕上げました。これは素材の持つ表情を表に出したいという思いと、ヒール部分をデザインの中心にもってきたかったからです。このヒールを作るのはとても大変です。毛の部分は鹿の毛を使用しています。鹿の毛をバリカンで3ミリにしたものと手縫いのコンビネーションです。この靴の一番時間のかかる作業の一つです。
 ヒールなので履いてしまうと地面に最も近く目立たない部分です。履いている人以外でヒールのデザインに気づく人はいないかもしれません。でも、そこがこの靴のいいところではないかと思っています。あまりわかりませんが「おしゃれ」はこのあたりに隠れているのではないかと思っています。
「小さい外羽根」
 靴の学校に通っている時からよく使っている木型を使っています。この木型は「木の実の靴」と一緒のもので (注・http://www.iog.co.jp/tokusyu/entoan/02.html)、「木の実の靴」を普段履きにしたいと思い、「小さい外羽根」を作りました。
 この靴の特徴は小さい羽根(紐を通すハト目があるパーツ)です。羽根が小さいため脱ぎ履きがしやすくデザインのアクセントにもなっています。つま先部分が余らない木型になっているので靴全体がとてもコンパクトにまとまり女性らしいカタチの靴です。
 ソールの種類も選べるので、entoanの靴の中では、一番バリエーションが豊か。シンプルなデザインなので、革の種類やソールの種類によりシックな靴にもカジュアルな靴にもなります。普段着ている洋服に合わせてお選びください。
  • 「スリッポン」22~25cm。表革はクロエ(黒)、カスターニョ(焦げ茶)、パパベロ(赤)など5色から選べます。長くはくうちに育っていく、経年変化が楽しめるボックスカーフという革を使っています。受注製作。¥42,000(税込)メンズもあり¥47,250(税込)。
  • 「レースアップブーツ」23~25cm。表革のタイプや色、はと目や紐の組み合わせ違いで5タイプ用意しています。受注製作。¥75,600(税込)
  • 「パンプス」22.5~24.5cm。表革の色はチョコ、ブラウンの他、ネイビーなども予定。限定受注製作。¥42,000(税込)
  • 「小さい外羽根」22~24.5cm。スリッポンと同じ、長くはくうちに味の出てくる革で作っています。底をシャークソール(第1話で紹介したスニーカーと同じ。白または黒)に変更可能。受注製作。¥42,000(税込)
  • 「entoan」では、はいていただく方の足にフィットするよう中敷きの革の厚さなどを調整して靴を仕上げることができます。有料となりますが、「entoan」の刻印などもそのままです。
 今回は革のポーチやキーケース、ケアブラシも揃えています。プレゼントにもよろこんでいただけそうです。靴といっしょにご覧いただけますよう!
  • 革のポーチは6色。大(24×19㎝・内ポケット付き)¥8,925(税込)、中(17×12㎝)¥5,250(税込)小(11.5×9㎝)¥3,150(税込)
  • おなかぽっこりキーケース。ぽっこりしたおなかの中に鍵がしまえます。
    黒・茶・焦げ茶。¥7,140(税込)
  • オリジナルケアブラシ。豚毛は汚れを落とし、クリームを塗るときに、馬毛は革の表面を整える仕上げ用に。
    各¥2,100(税込)
 
 
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