特集 小鉢さんちのおおらかな暮らし
 
第2話 イタリアじこみの窯焼きピザ
ピザを載せた大きなカッティングボードを中心に青い絵柄のお皿、友人の作ったワイングラス、そしてトマトソースの鍋も並ぶテーブルは気取りがなくておおらか。つられて集う人の気持ちがリラックスしてきます。近くの直売所で買った新鮮な野菜のグリルやサラダもみずみずしくて甘い。
  • キッチンの窓の外側には木のカウンターが。庭で食事をするときはここで受け渡しができる。便利だし、いい感じです。
  • 「まな板に乾杯!」とワインを開けました。小鉢さんはカッティングボードより、まな板、とよぶことのほうが多いそうです。
 月夜ちゃんのお家見学ツアーに途中からかおりさんも参加。「わー」「わー」と感激している間に、小鉢さんは着々とお昼の準備を進めてくれていました。キッチンで野菜を切ったり焼いたり、庭に走り出て窯の火の具合を確かめて薪を足したり、器を揃えたり。イタリアの家庭でふだん食べているピザを作ってくださるとのこと。
 小鉢家では夫婦どちらもキッチンに立ちますが、このところ個展をひかえたかおりさんが絵に集中していたので、小鉢さんが料理をすることが多かったそう。「このままずっと僕が担当することになりそうな気もしています」。ちょっとうらやましい。月夜ちゃんもお手伝い、上手に生地をのばしてくれました。
 下準備ができたら、あとは作りながらあつあつを食べることに。1枚目はトマトソースのナポリターナ、2枚目はジャガイモのピザ・ビアンカ、3枚目はシンプルにゴルゴンゾーラチーズだけ、4枚目は元に戻ってナポリターナ、そして最後はビアンカ。遠慮なく手を伸ばして完食。窯の火の具合もちょうどよくて、どのピザも香ばしくやさしい味がしました。
流し台をまたぐ大きな長四角は、まな板として。魚もさばくし、昆布締めもこの上で作ります。
鍋のピザ用トマトソースを混ぜるときは木べらで。へらの一隅が角張っていて、鍋底をこそげたりするのに便利。
ピザは窯を十分に温め、窯に蓄えた熱で焼くので事前に何度も薪をくべます。「オーブンのときも、しっかり温めてから焼くといいみたい」とかおりさん。
 小鉢さんのピザ作りはじつにてきぱき。トマトソースのレシピも生地の配合も「全部適当なんです」と言うけれど、体が覚えているみたい。とても手際がいいのです。そして自作の道具がここでも大活躍。カッティングボード、木べらはもちろん、菜箸、キッチンペーパースタンド、そしてピザ窯用のへらまで!小さいころから「インスタントラーメンにキャベツを入れたらおいしいだろうなとか思う子であった」そうですが、ここまで創意工夫とは!
大きな丸はピザにぴったり。ピザカッターを使っても安心感があります。小さなサイズは食卓で切り分けたほうがいい果物やチーズ、デザート用。
ソースを塗るときも、木べらだとあたりが柔らかいので生地に穴があいたりしません。月夜ちゃんはアンチョビが大好き。多めにトッピングしました。
窯が温まっているので、数分で焼きあがります。ピザを入れたり出したりする鉄のへらも小鉢さんが作りました。
ピザの後はバーベキューグリルで油揚げを焼きました。カッティングボードに載せてざくっと切り分けてお醤油をちょっとたらして。おまけもおいしい。
 
小鉢さんちのピザ・ナポリターナとピザ・ビアンカのレシピをご紹介します。
ピザ生地
「発酵にかかる時間や、水分量は季節などによって適当に変えています。ホームベーカリーを使うこともあれば、今日は手でこねようと思うときも。その時々でよくできたね、とか、ちょっとぺったりしてるね、とか話題にしながら食べるんです」

材料
強力粉200g、ぬるま湯約100cc、オリーブオイル20cc、塩5g、ドライイースト約5g

作り方
  • 材料をボウルに入れて手でこねる。全体がひとつにまとまって表面がつるんとしてきたらボウルにぬれぶきんをかけて一次発酵。
  • 2倍ぐらいの大きさになったらボウルに生地をうちつけるようにしてガスを抜き、再度まるめてぬれぶきんをかけて二次発酵。
  • 20~30分したら5等分に切り分け、小麦粉をはたいた台の上で薄くのばす。
 
ピザ・ナポリターナ
「ピザソースも、上に載せるものもほんとうに適当で。ニンニクやオリーブオイルの量も僕が作ると多め、妻が作ると控えめで上品な味になります。オレガノも入れたり入れなかったり。こくと甘さがあるのでミニトマトで作ることが多いですね」

材料
ピザソース(ミニトマト2パック、ニンニク1~2かけ、オリーブオイル・塩・こしょう・砂糖・オレガノ・バジル各適量)
モッツァレラチーズ・アンチョビ・ピザ生地 各適量

作り方
  • ミニトマトは半分に切る。ニンニクはみじん切り。
  • 厚手の鍋にオリーブオイルとニンニクを入れて弱火で炒め、香りが出たらトマトを加えペースト状になるまで煮詰める。焦がさないように注意。オレガノ、バジルを好みで加え、塩・こしょうで味を整える。甘みが欲しいと思ったら砂糖を少々加える。
  • ソースがさめたら生地に塗り、ほぐしたアンチョビ、水気を切って1㎝角に刻んだモッツァレラチーズをたっぷり載せて高温で焼く。バジルを載せても。
    ソースは作りやすい量で紹介しています。
 
ピザ・ビアンカ
「トスカーナの田舎で食べたピザで、ソースを使わず、ジャガイモとチーズとローズマリーを載せるだけの素朴な味。白いピザです。ジャガイモの歯ごたえが残っているぐらいで食べるのが好き。アンチョビやオリーブオイルの実を載せることもあります」

材料
ジャガイモ(ピザ一枚につき大1個ぐらい)
モッツァレラチーズ・アンチョビ・ピザ生地・ローズマリー 各適量

作り方
  • ジャガイモは皮をむいて薄くスライスし、水にさっとさらしてからしっかり水気を切る。モッツァレラチーズは水気を切り、1㎝角に刻む。
  • ピザ生地の上に1のジャガイモと、モッツァレラチーズ、ローズマリー、ほぐしたアンチョビを載せて焼く。
 
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