特集 小鉢さんちのおおらかな暮らし
 
 
第4話 住まいでアトリエでギャラリーで
  • 2mを超える大作『七つの心音』はリビングの一番抜けのいいスペースに。天井から吊られたブランコと並んでいます。小鉢さんは一本のクスノキから、それぞれの木の形にそって作品を彫りだしていきます。
  • パティオ。木の扉の横にあるのは『深い水』。木の芯の周りに近くの海岸で拾い集めた貝殻を貼り込んだ小鉢さんの作品。フロアには小石を敷き詰め、中央には小さな泉があります。
リビングの壁にかけられたかおりさんの油彩画『ディロス島』。月夜ちゃんが描かれています。下の棚には絵本、横にはランドセル。渡邉かおりさん、として作家活動をしていらっしゃいます。
 小鉢さんの家でさせていただいた貴重な体験がもうひとつ。ご夫妻の作品を、それが創作された場所、作った人が暮らす場所で見ることができました。
 そこには何もないところから作品が形作られていった貴重な時間が流れています。そして小鉢さんたちは、作品がそこにあると嬉しいだろうスペースを、家の中に上手に見つけたり作ったりしています。だから絵も彫刻もリラックスしている感じ。ここがいちばんふさわしいギャラリーのようにも思いました。家のいろんなところの棚の飾り方やコーナーの作り方もチャーミング。写真でいくつかご紹介します。
 
公園の写真の左右にあるのは、月夜ちゃんが紙で折ったリス。散歩するといつもリスがいたのだそうです。濃いオレンジの壁とのコントラストがきれい。ここが一枚の絵のようです。
  • 小鉢さんのアトリエ。「いつになっても未完成で、すきま風もすごくてこれからは寒い」。でも、並んだ彫刻も含めてここ全体が作品のよう。小鉢さんは来年1月に東京で個展を開く予定。日程などはイオグラフィックのホームページでもご紹介します。
  • アトリエの外壁にカッティングボードが。黄色い板は月夜ちゃんが小さい時に作った「赤ずきんちゃんの家」の一部。
デッサン画やポストカード、ノミ、小槌など彫刻の道具に囲まれて、静かに存在感を放つ作品「共感疲労」。
小鉢さんが彫刻をしているそばで月夜ちゃんが彫ったもの。パパの作品と並んでいます。
これはかおりさんのアトリエのドア。ブラジャーに「STUDIO PRIVATO」(プライベートスタジオ)と書いてあります。ユーモラスだけれど、のぞいてはいけない雰囲気。絵を描くときはここに繭のようにこもります。
 キッチンの壁に大橋の版画を発見しました。
「ここは犬のコーナー」と小鉢さん。棚の上、右にいる3匹の黒い犬は、以前飼っていたラブラドールの母子のつもりだそうです。この母犬はダルマーのお母さん、子どもはダルマーの妹たち。そう、ダルマーは小鉢さんのところから大橋のところにやってきたのです。
 一緒に並んでいるのは小鉢さんの半磁陶の作品、去年震災の後にしばらく滞在したカナダの公園の写真、そしてフィレンツェに住む友人からのカード。家族の大事なものが絶妙な間隔でそっと並んでいます。柔らかいカーブを描いた樫の木の棚はもちろん小鉢さん作です。
取材:田中 真理子
小鉢さんの『木べら』『カッティングボード』はこちら
 
 
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