おしゃれは大事よ
第69話 私の大人っぽいは恰好よいと同義語なの


 カッカッカッ。パンプスのヒールがアスファルトの歩道にぶつかる音です。
 近頃どなたも底のかたいヒールのパンプスは敬遠なさっているとみえ、いえ私がそういうパンプスをはいている人の多い街中に出ないからかも知れませんが、久しぶりに靴音を聞きました。その人、身長は165センチぐらいで、やせていず太ってもいずで、髪は後ろにひとまとめにした年の頃は40歳ぐらいの主婦らしい感じでした。恰好よかった。
 スカートの部分がギャザーになった長い丈の草色のワンピースに茶色のベルトをしめ、うす茶のヒールの低いパンプスをはいていて、いい意味でたっぷりした印象の人でしたが、こういう人は最近少ないのです。またその人が恰好よかったのは、さっそうと大またに歩いていたからもありました。だから靴音が高かったんだと思います。やっぱり歩き方って大事です。
 ところで大人が大人っぽいのはあたりまえですか? 先日着物屋ですすめられた帯を見て、大人っぽすぎて私には似合わないといったら、大人が大人っぽすぎるっていうの変ですねといわれてしまいましたが、深く考えないで使っている大人っぽいという言葉のニュアンス、たいがいの人が分かっていると思って使ってきました。そういえば大人っぽいってどういうことをいっているつもりだったんだろう。靴音をならして堂々と歩いていた人はとても大人っぽかったのです。ヒールのあるパンプスをはいていれば、髪を後ろにまとめていれば大人っぽいというものでもありませんし、だって私が同じような恰好をしても、大人っぽく見えるとは思えません。身長が問題でしょうか。うん、そうかもしれない。
 具体的にどんな人を大人っぽいと私が思っているかというと、例えば稲葉賀恵さん。あの帯は稲葉さん向きでした。

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