おしゃれは大事よ
第71話 洋服を身につけて
久しい


 このあいだ、大事にとっておいたエルやマリ・クレール(どちらもフランス版)の切りぬきを捨てました。'70年代から'80年代のファッションは、今また参考になると思ったけど、流行というのはたとえ'70年代スタイルがリバイバルしているといっても、ベースがきっちり違います。まず'70年代には携帯電話なんかなかったじゃないですか。'70年代にはトラットリアなんて日本にありましたか? '70年代にグッチやルイ・ヴィトンがこんなにファッショナブルになるなんて思いもしませんでした。そして'80年代のバブル経済は一時私たちをウキウキさせ、'90年代に入ってはじけてしまいました。リバイバルといっても畑が違うのです。
 というわけで古着も今また人気のようですが、上手に着こなせるのは若い人たちに限ります。中年は新しい今の流行の服を着ないとおしゃれに見せられない(と私は思ってる)。
 私コム デ ギャルソンでニットのパッチワーク風袖なし上衣を買いました。新しい服を買うとどうしてこんなにうれしいのでしょう。まだ残暑きびしいのに、その服を鏡の前で何度も着てみています。
 ところで最近雑誌でパリのおしゃれさんたちのスナップを見ましたが、最新ブランドものは着ていないのですねぇ。ま、ニューヨークのマンハッタンでもバリバリの最新服を見かけませんが。
 別の雑誌には、どこかの国の男性が肩に民族衣装らしい美しい色の織物の布をかけている写真が出ていました。その国の人間としての誇りを象徴しているように見えました。その男性は自信に満ちた顔つきでしたもの。
 日本人としての誇りを着るもので見せる着物は、リバイバルしませんねぇ。
 私も含めて日本人て新しものがりやです。最新の服を着るとよく見えると思っているのは日本人ばかりなりだったりして。

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