薬味やお菓子が1つのるくらいの豆皿からお惣菜の取り皿になる小さな器のいいのがあったら楽しいねぇ、という雑談から『小皿展』を開催することになりました。秋の開催を目指してドキドキしながら作家さんにお声がけし、安藤雅信さん、イバタカツエさん、岩田圭介さん、小野哲平さん、西川聡さん、森岡成好さん、森岡由利子さん、吉川千香子さん(五十音順)、8人の作家さんにご参加いただくことができました。豆皿か小皿くらいの小さなお皿をというざっくりとしたお願いでしたので、どんな器が届くのかわくわく。
8人の作家さんの小皿たちはそれぞれ個性的ですばらしく、見ていただくのが楽しみです。
安藤雅信さん
’98年に岐阜県多治見市に『ギャルリー百草』を開廊され、和洋問わず使用できる日常食器と茶道具、そして彫刻的な作品『結界シリーズ』も制作していらっしゃいます。
安藤さんから届いたのは、かたちも風合いもいろいろな6種類の器です。
金属のように見える左上下は銀彩。上段の中央と右のサイズ違いの花皿は古伊万里の磁器をモデルにつくられたもの。下段中央と右はヨーロッパの器が好きでそれをミニチュアのように小さいサイズにしたオランダ輪花皿と楕円形ハーフです。
オリジナルの釉薬を施し、全面に銀彩を焼き付けたシリーズ。使用しているうちに金色っぽく色が変化し育つ楽しみがあるそうです。
手前:切り立ちプレート 直径約6cm 奥:ソーサーミニ 直径約10.5cm
*食洗機、電子レンジは使用できません。また、卵など硫黄成分が含まれているものはお避けください。
左は古伊万里、右はヨーロッパの器をイメージしているそうです。国によって普段目にする花の違いがかたちに現れているのでしょうか。左の花皿は灰釉薬の特徴で表面に黒い点が見えます。
左下:花皿S 直径9cm 左上:花皿SS 直径6.5cm 右:オランダ輪花皿 直径8.5cm
イバタカツエさん
静岡県浜松市で作陶されているイバタさん。動物やドットなどちょっとユーモラスで、アートのような絵付けが楽しい器です。イバタさんの作品を初めて手にしたのは、熊本のギャラリーmoeさんでお茶をいただいた時。モノトーンのドットに釘付けになりました。今回は角豆皿と丸皿を各10枚、1点1点異なる絵柄とぽってりした風合いに、存在感があります。
パワフルな絵付けが目を引く丸皿。あまりにかわいいから、盛り付けするのがもったいない気がしてしまいます。直径約15.5cm
長方形が新鮮な角豆皿。木型でかたちをとり、1点ずつ縁を削り凹凸をつけているそうで、かたちもそれぞれ、絵柄もそれぞれです。約7cm×13cm
岩田圭介さん
日本大学芸術学部彫刻科卒業後、瀬戸で河本五郎氏に師事。その後’83年に福岡で開窯され、国内外で個展を開催していらっしゃる岩田さん。サイズも個性も違う4種の小皿が届きました。
約5.5cm四方と直径約6cmの小さな小さな豆皿。白とサビの2色を並べるとまるでオセロのよう。マンガン主体の釉薬でサビ色を出されています。おままごとのようなサイズとやさしい色合いに、なんだかほっと心がほぐれます。お塩やワサビなどの薬味をのせたり、箸置きにしてもいいそうです。
左:黒い土を釉薬なしで焼締した小皿。素焼きしてから泥を溶かして塗りすることでかすれめ(化粧)を施されています。直径約8.5cm
右:長石釉に独自の灰を混ぜて色を出すこちらの白とり皿は、岩田さんの作品として定番。なめらかな質感が手にも伝わります。直径約14cm
小野哲平さん
高知県香美市で作陶されている小野さん。使う土は、掘られたまま手を入れていないもので、ご自身もできるだけ余計な手を加えないそうです。土の個性を残すようにつくられる器は、力強くあたたかい印象を受けます。
*食洗機、電子レンジのご使用はお避け下さい。
薪窯の豆皿。ガスに比べ、薪はあまい仕上がりになり窯が大きく置く場所によって温度が変わり、それが仕上がりの表情の違いになった作品です。直径約10cm
クロスの豆皿。「クロスに特に意味はないですが、昔から強さを感じるかたちに魅かれ、よくモチーフにしています」と小野さん。
西川聡さん
西川さんは、武蔵野美術工業大学デザイン学科卒業後、’91年より個展を中心に作品を発表し’13年に同大学の教授に就任。神奈川県湯河原の工房で作陶されています。漆を塗ることで、本来の土のテクスチャーと違う雰囲気がある3種類の器を届けてくださいました。
左から轆轤の平らな小皿、轆轤の縁がある小皿、たたら技法の小皿(上段 表、下段 裏)。素焼きで2回焼いた後、釉薬ではなく赤い酸化鉄を材料にした赤絵をつけ、もう1回焼き漆を染み込ませてこの色と独特の風合いを出しているそうです。漆というと木の器のイメージだったスタッフは、陶器にも漆を使用し、色と質感を表現されることにびっくりしました。「漆には防水効果があり、液体状のものをのせても染み込まないという利点もあるんですよ。元々の土はもっと明るい赤なので、使ううちに少しずつ明るくなります」と西川さん。育つ器です。
*漆は金たわしなどで強くこすると取れるため、柔らかいスポンジを使用してください。電子レンジは使用できません。
森岡成好さん
和歌山県天野で作陶されている森岡さんは、南蛮焼締を中心に黒釉、灰釉などの器を薪窯でつくられています。土は基本的に和歌山か滋賀のものにこだわり、その土のたくましさが感じられる作品が魅力的です。
今回は2種類の器を作ってくださいました。薪の量が多く、よく焼いているのでしっかり締まり、醤油などを入れても染み込みにくいそうです。男性的な強さを感じます。
左:南蛮焼締皿 直径約10.5cm 右:黒釉皿 直径約10cm
森岡由利子さん
森岡成好さんとご夫婦で、和歌山県天野にて作陶されている由利子さん。薪窯で素焼きをせずに生素地から3日間かけてじっくり焼かれた白磁は、凛とした強さと、素材のやさしさが感じられます。
よく見ると表面に質感があり、白磁ですがあたたかみが感じられます。お酒のおつまみもきれいなお菓子も、毎日の食卓で活躍してくれる器です。
吉川千香子さん
’70年に武蔵美術大学彫刻科卒業後、’74年に愛知県常滑市に移り作陶されている吉川さん。イバタさんと同じく、吉川さんの作品に初めて触れたのは熊本のギャラリーmoeさんでお茶をいただいた時のカップでした。「えっ? かわいい!!」動物の顔がついている器に、こんなカップ見たことない!!もう衝撃を受けました。かたちも絵付けも想像外のインパクトです。今回は2型、カラフルなお皿が届きました。
高台のある小皿10枚。こちらは生きているみたいな丸と曲線が描かれています。金属のような茶色は、イスラエルの友人に教えてもらったイスラエルにある山の土に炭酸バリウムや金属を混ぜて出したニュアンスのある色です。直径約11.5cm
高台のない小皿10枚。にょきにょきと縁からでているような絵柄です。お好きなとり皿をどうぞ~とテーブルに並べられたら、食べ物の前にお皿選びに迷いそうです。直径約12.5cm
*小皿はすべて11月3日に発売し、在庫がなくなり次第終了いたします。店頭販売のみになり、数に限りがあります。予めご容赦ください。