気になっている若い人の再就職を知人に相談したら「うーん、12、3年のキャリアということは30を超えているってことでしょ、むつかしいなあ。30過ぎていると給料はそれなりに出さなきゃいけないし、もちろんキャリアがあればその分プラスしなくちゃならないし。今はなんていうか若くて発想もいい子もいるから、そういう子に適当な給料で働いてもらうほうが、いろんな意味でいいんだ」ということでした。
話の感じでは、30過ぎると若者じゃないととらえられているのでした。びっくり。でもまあ確かに20代から見れば若くはないか、と知人の話を聞いて、改めて30代は大人という認識を持ったのでした。なにしろ私は30の倍の60。いえあと数日でそれにプラス1なのですから(2001年某月某日)、30代なんて若者以外のなにものでもないのですよ。
本当はその若い人の再就職の世話どころではありませんでした。気がついたらめっきり新しい仕事の話が少なくなってきている私なのでした。トホホホホ……。このままじゃ事務所を閉めなきゃいけなくなるかも、なんてこと考えなきゃいけないかなあ。またまた時代が時代で、広告業界も閑古鳥らしいから、おいしい仕事を期待するのは無理ですし。いややっぱり年だから仕事がまわってこないんだ。うーん。
ふと「まだまだ若い者には負けやせん」という老人のいい種(ぐさ)を思い出しました。私だって内心そう思っていなくはない。けどそう思うのは老人になった証拠で、30代が20代にはいわないフレーズですよね。
それにしても年をとるということは老けるということなんですねえ。あたりまえのことではあるんですが、気持ちが外見についていかないのです。もちろん60になって急変したわけではありませんよ。30代、40代、50代と順に老けてきたのですから。気持ちがついていかないといってもまさか30代の気分はありません。ちょっとは40代の気分が残っていて、50代にはだいぶん残っていますけど。でも外見は60歳なんですよ。
さて今のところは、これからの生活図をつくらなくっちゃと思っています。60になって20代向けの雑誌の仕事がこないことに気づいて「まだまだ若い者には負けやせん」のにと思うのは、若い者に負けてるってことですもの。60のイラストレーターはやっぱり60のイラストレーターなのですよ。
ファッションデザイナーのケンゾーさんがリタイアなさった時、ショックでした。50代で引退を考えておいでだったのかなあ。若い人向けの服のデザインは無理と思われたのかなあ。もう十分仕事はなさったからかなあ。あれはちょっとショックでした。
先日セカンドハウスだった家の掃除をリタイアしたグループの人にしてもらいました。若者とは違っててていねいだろうから、きれいになっているにちがいないと思い、見に行きました。やり残しが多いのでした。私がやったほうがず〜っときれい……でした。仕方なく専門の業者に再度やってもらいました。感覚の仕事だけじゃないということなのです。
30代のお若いの、めげずに生きていこうね。一緒にしないでっていわれるかな。