由美さん すごいっていうか長生きよね。だって、片目がないんだよ。でも目が悪いから危ないことをしなかった。外に行かなかったね。他の子たちは車にはねられたりするんだよね、そういうことがなかったから長生きしたのかなって。
大橋 それでそのあとは子供だった子と一緒に。
由美さん そう。東山から千駄ヶ谷に移ったの。
大橋 でもそこはマンションだったんじゃない?
由美さん うん、秘密で飼ってた。
大橋 写真があったよね。その子は我が儘だった?
由美さん というか、すごいワイルドで。
大橋 そうだよね、その子だよね。
由美さん かくれんぼとかして一緒に遊ぶんだけど、本気で私怖いの、見つかるのが。頭が良くてね、私1人だからトイレのドアを閉めないで使ってたの、そしたらそこがオシッコするところだってわかったらしくて、ある時ター坊が便器に座ってオシッコしてたのを見てびっくり。
大橋 そういう子いるんだってね。
由美さん うん、ただ流さない。
大橋 そりゃそうだよ、あはは。今だったら自動で流れる。
由美さん うん。
大橋 へ〜。その猫は目黒の白金台のところまで行った?
由美さん うん。ター坊は14年間6階と7階でしか生活していなかった。それでカラスや雀しか見てない。死ぬまでに土を触らせたいなって思って。白金台は1階でお庭がついてるから引っ越して。
大橋 そうそう。あそこは何年くらい居たの? ここに来る前ね。
由美さん 14年くらいかな。
大橋 あそこは猫が飼いやすいところだったの?
由美さん うん。みなさん犬飼っているし、猫飼っているし。古いところなので別に誰も何も言わない。犬を散歩させてから抱っこしてロビーで猫を抱っこしている人とおしゃべりしてるんだもの。管理人さんは、私が外出する時猫を朝出して行くでしょ、すると夕方ちゃんと取り込んでくれてる。
大橋 すごい、そんなの聞いたことがないよ。
由美さん 隣のお部屋のおばさんなんて、うちの子がベランダに遊びに行くらしくて、ダンボールでお家を作ってくれてた。
大橋 その時代は心配しなくていいからよかったね。でもその時は?
由美さん ターちゃんが1匹。でもそこにススという野良猫のガリガリに痩せた子が来ちゃった。あまりにもかわいそうなので、1年かけてなつかせてお家の中に入れたの。
大橋 大丈夫だったの?
由美さん だめ、オス同士だったから。ススを中に入れたらターちゃんカンカンになって外に行っちゃったの。
大橋 ウソ!
由美さん 家の中にいないで、ずっと外に行っちゃったの。でもご飯は食べに帰ってくるんだよ。それでちょっとここで寝たりするけど、すぐにプイって外に行っちゃう。
大橋 へ〜。
由美さん ススは白血病だったんだよね、やっぱり野良猫だったから。それで家の中に入れてひと冬越せたんだけど、だめになって死んじゃって。それでター坊もよく分からないんだけど背骨が折れちゃったの。