特集 a.の服づくり
第3話 2013年春夏の服をご紹介します。
 
今回はイオグラフィックのスタッフが着てみました。「ねじりスカートワンピース」(左・身長163㎝)と「タックスカートワンピース」(右・身長159㎝)。ねじりスカートは布が2重使いですが、重さを感じさせません。左Mサイズ、右Sサイズ。
  • カットソーTシャツとブロードのスカートがくっついた「ねじりスカートワンピース」。別々に着ると悩ましいTシャツの丈が気にならず、お腹回りがすっきり。黒でサイズはS、M。
  • 「ねじりスカートワンピース」の裾。ふんわり体から離れたシルエットには、足首をほっそり見せる効果も。足元はこんなふうにスニーカーで元気にまとめても、黒の紐靴ですっきりさせても。
  • 「タックスカートワンピース」。何気ないけれど、探すとなかなかないごくシンプルなデザイン。肌触りがよく、型くずれしにくい上質の天竺素材でつくりました。色は紺と黒。サイズはS、M。
  • 「タックスカートワンピース」は詰まった襟ぐりも魅力です。うしろの襟ぐりには着替えやすいようスリットが。小さなボタンもついていて、ちょっとしたアクセントになっています。
「綿かぶるだけワンピース」(左・身長163㎝)と「麻Vネックワンピース」(右・身長166㎝)。「綿かぶるだけワンピース」は、こんなふうに裾から白い幅広パンツをのぞかせてもきれい。左Sサイズ、右Mサイズ。
  • 「綿かぶるだけワンピース」はウエスト部分で布を切り替えました。ステッチをかけたことで、ワンピースがしまってみえます。ざくっとしたオックスフォード地は涼しげ。色は紺と黒。サイズはS、M。
  • 「Vネックワンピース」はゆったりした身幅と肩からすとんと落ちるシルエットが特徴。二の腕あたりもゆったり。比較的ゆとりのある襟ぐりです。色は紺と黒。サイズはS、M。
 a.を始めて以来ずっとワンピースをつくりつづけていて、今回の2013年春夏ものも新しく4型つくりました。a.にワンピースが多いのは、私もワンピースが好きだし、着る機会が多いから、というのがあります。1枚で完結するかららくちんでしょう。また年齢的にお腹まわりのこともあって、シルエットを選べば体型がカバーできる。カバーできるというと情けないけれど、肩からすとんとおちるようなシルエットの服はきれいにみえると思います。つくりたいのはそういう、らくちんだけどらくちんだけじゃない、着やすくて素敵にみえる大人のワンピースです。そのワンピースを中心に新しい春夏ものをご紹介したいと思います。


 「ねじりスカートワンピース」は、シンプルなTシャツとちょっとねじれたバルーンスカートがひと続きになったワンピースです。スカートはハンガーにかかっていると「あれ、へんなスカートだなあ」と思うかもしれないけれど(笑)、着てみると案外普通なんです。普通でちょっと違うので、楽しく着られるんじゃないかと思います。バルーンスカートはふんわりとからだから離れ、それ自体で形ができるので体型がめだたないのもいいところです。
 実はこのワンピース、前シーズンに出そうとしていたのですが、ほどよい形とボリュームが出せるスカート用の生地が探せなくて一回見送ったんです。それがすごく気になっていて好きなシルエットだったので、なんとかつくりたくて素材を変えてみたら今度はうまくいきました。ようやっと実りました。
 流行のないワンピースです。普段にも、なにか特別な時にも着られると思います。展示会では妊婦さんも着てくださってかわいかった。

 「タックスカートワンピース」はこれもシンプルなTシャツと、タックスカートがひと続きになった形です。なんてことのないシンプルなワンピース、目を引くデザインはありません。「でも着るといいね、着やすいね」と思ってもらえるよう、パタンナーさんにお願いしました。身幅や腰回りのゆとり感や、7分丈の袖は大人の女性にやさしいデザイン。つまりぎみの襟ぐりはa.ならではのディテールです。

 新しい4型のうち、「麻Vネックワンピース」の原型がa.の定番ワンピースであることは、第1話でご紹介しましたが、「綿かぶるだけワンピース」も昨シーズンの秋冬物で大好評だった同名のウールのワンピースの春夏版です。
 かぶるだけのほんとうにすとんとした形なので素材感が大事と思い、選んだのはやや厚手で張りのあるオックスフォード。洗濯したときのざくっとした感じいいんです。洗いざらしてがばっと着るといいと思います。4つのワンピースの中で一番短い丈ですが、165㎝ぐらいの方でもMサイズなら膝下にはなります。そのまま素足でも、下にパンツを合わせても軽やかな丈だと思います。
  • 綿ギャバの「ショートコート」はコーディネートでカジュアルにも、シックにも着こなすことができます。こちらはヒッコリーの幅広パンツをロールアップしてあわせて軽快に。Mサイズ。
  • 黒のバルーンパンツを組み合わせるとぐんと大人っぽい印象になります(身長164㎝)。Mサイズ。
  • 横から見るとテントのよう。肩から裾にかけてきれいなフレアを描いているのがわかります。ラグランスリーブなので袖ぐりもゆったり。
  • 後ろ身頃は1枚仕立て、シルエットがきれいです。長すぎず、かつヒップがぎりぎり隠れる丈なのも嬉しい。サイズはSとM。
  • 「幅広パンツ(白)」は、メンズのパンツにも使われるチノクロスでつくりました。裾をロールアップして短めにはいてもさわやか。トップスの「シャツジャケット」も今年の新作です。Mサイズ。
  • 「幅広パンツ(白)」と今年の新作「ワークコート」をコーディネート。足元がとても軽やかでいいバランスです。Mサイズ着用。幅広パンツの新作は4種類。サイズはS、M。
「バルーンパンツ」は、モンペのようなシルエット。らくちんそうですが、ボリュームやシルエットは、はくとどうなのか? ちょっと想像がつきません。生地は少し厚手のブロード。色は黒、サイズはS、M。
  • ギンガムチェックの「丸襟シャツ」と「バルーンパンツ」に、赤いソックスやスニーカーをあわせ、ラフに着てみました。脇が広がらず、股上がゆったり。はいてみると愛らしいシルエットです。
  • 水色の「丸襟シャツ」ともいい感じです。足元を黒の靴ひもにすると、愛らしかった「バルーンパンツ」が大人っぽいボトムに見えてきます。
  • 横からです。裾にかけてゆるやかなシルエット。丈が短めなので重たく感じません。
  • 後ろ姿です。つい気になるヒップや脚のラインがきれいにカバーされています。
 くりかえしつくっているワンピースに対して、今回初めてつくったのが「ショートコート」ですね。こういう襟の形のショートコートはどこにでもあるんですけれど、自分は着たことがありませんでした。似合わないから(笑)。でも着ている人をみて、こういうのかあったらきっと便利だな、つくってみようと思いました。どこにでもあるけれど、a.らしいものは何だろう、と考えました。
 ベルトはなし、全体にふんわりしてうしろはフレアっぽく。パタンナーさんへ絵型を渡して、トワルをつくってサンプルをつくって、いろいろと改良しながら試行錯誤が必要でした。でも布の質感も分量もよくできたと思っています。

 最後にもう1アイテム、新しいパンツをご紹介します。形は定番だけれど生地を新たに選んでつくった「幅広パンツ」、そしてちょっと楽しいかたちの「バルーンパンツ」です。
 「幅広パンツ」は素材違いで4種類。チノクロスの白、少し厚手でざっくりした風合いのリネンキャンバス、黒×白に紺色で後染めしたギンガム、そして白×インディゴのヒッコリー。ハードにはいてもらって洗っていくうちにくしゃくしゃになってはきやすくなる、かわいくはける、そういういい布でつくりたいと思って選びました。今はそれがかっこいい時代ですから。幅広といっても形はうんとワイドでもない、なんでもない幅。動きやすくてトップスを選ばない、そんな普通にはけるパンツの範囲の、ぎりぎりのところにあるパンツかな(笑)。

 一方「バルーンパンツ」はちょっと変わったかたちです。でもはいてみると気に入ってくださる方が多いのは、「ねじりスカートワンピース」と似ています。サルエルパンツと普通のパンツのあいだぐらいのボリュームにつくりましたが、もともとは私が持っていたもっとまるくて風船みたいなパンツがヒントになっています。でもそのままだとボリュームがありすぎるから「脇をちょっと内側に入れて細くして、裾もずるっとさせて、股上をゆっくりさせて」。とイオグラフィックのスタッフに頼んで型をつくってもらいました。
 実際展示会ではいてくださった方の感想がよかったので、秋冬でウールでつくってもいいかなと今は思っています。トップスはシャツブラウスでもカットソーでも。ワンピースの下にちょこっと出すのもいいと思います。意外になんにでもあわせやすいのです。


 この他、シャツジャケットやジャンパースカート、ロング丈のコート、そしてアンサンブル風のカットソーなどが新しくa.に仲間入りしました。3月に入ると順次できてきて、ショップに並ぶ予定です。また、蒲郡、熊本、京都、東京、鳥取、そして神戸と展示会の予定も続いています。直接展示会やショップにいらしていただき、試着していただけるのがいちばんですが、ホームページでも、商品やコーディネートの紹介をていねいにして行く予定でいます。ぜひごらんになってください。
取材:田中 真理子
 
 
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