特集 mature ha.のBOXED HAT｜イオグラフィック

「BOXED HAT」はこんなふうにぺたんこになって箱に入っています。これはブリム（つば）が11㎝と広いタイプ「101」。ボディの色やグログランリボンの色を選ぶことができます。

ぺたんこになった帽子を手でふくらますと折りしわがラフでいいかんじについています。丸い帽子を四角い箱に入れることでつばが箱の角で折り上がり、程よいくせがつくそう。かぶる時に少し伸ばして整えます。
箱のつくりが端正できれいなのも「BOXED HAT」の魅力のひとつ。買った時も、収納しても、箱ごとトランクに入れ旅先に持って行っても嬉しい気持ちに。横浜にある竹内紙器製作所が制作しています。

今まで見たことがない

「ちょっとびっくり！」と言ってもかたちが変わっているわけではありません。ごくごくシンプルでプレーンな、きどらずにかぶれるおしゃれな夏の帽子です。ではなにがびっくりかというと、この帽子、とても小さな箱に収まってしまうのです。
　どれぐらい小さいかというと約20㎝×30㎝、高さは5㎝弱。なんとA４サイズの紙に近い四角の平たい箱です。しかも箱に収納することが帽子の雰囲気をキープするのに役だっているというのです。だから名付けて「BOXED HAT（ボックスドハット）」。
　大橋が最初に見た時の感想は「ええっ！すごーくいい！」でした。
「麦わら帽子のようにかたちがある帽子は、かぶっているときはいいけれど、脱ぎたいと思っても持っているのがつらかったりするんです。今の私たちの生活にはなかなかむずかしい。だからこの帽子はぺたんこにできるのがすごくいいと思いました。持ち運びしやすいし収納にも便利。こんなの今まで見たことがありませんでした」と大橋。

「mature ha.」の高田さん夫妻。材料を探したり品質や進行の管理は雅之さん。デザインは主にユキさんが担当ですが「私がなんでも取り入れたいタイプなのに対して彼はそこから削ぎ落していくのが得意」。手前にずらりと「BOXED HAT」が並んでいます。

神戸市中央区海岸通にある「マチュア帽子店」は明治44年竣工の海岸ビルヂングという古い建物にあります。
こちらはアトリエ。おしゃれなインテリアには「BOXED HAT」に共通する雰囲気があるような気がします。
帽子のサイズチェックをする道具を使って、ひとつひとつ検品していくユキさん。

今回イオショップ＆ギャラリーでお取り扱いさせていただく３型です。
右上が「104」、右下「101」、左上下「105」。「105」はさらに小さな20.5×26㎝の箱に収まります。

シャツみたいに整然と

　この帽子をつくった「mature ha.（マチュアーハ）」の高田さんたちの発想もそこから始まったと言います。
　高田雅之さんとユキさんは神戸の海岸通でセレクトとオリジナルの帽子を扱う帽子店を営んでいます。お店を始めて10年ほどになりますが、「お客様の声をずっと聞いていると持ち運びと収納が永遠の課題なんだな」と思っていたそう。自分たちも、限りあるスペースにかさばる帽子をディスプレイしたり在庫をストックしたりするのにいつも悩んでいたと言います。
「時々のぞく洋服屋さんでシャツが箱に入って並んでいるのを見て、帽子もこんなふうにできたらいいなあと思っていました」とユキさん。なるほど、箱に収まった「BOXED HAT」が並ぶ姿は整然としていてきれいです。

エレガントな「101」。ブリムをくるっと上にあげてかぶるのがユキさんのおすすめです。これは色はナチュラルですがミックスブラウンもお取り扱いします。
「ブリムが大きい101は、つば先がロールアップするセーラー型を使っています。つば先は伸ばさずに折り上げたままで形を整えてかぶってください。しわを残して浅くかぶってみたり、お客様が素敵にアレンジされているのを見ると嬉しい」とユキさん。

「104」です。ブリムは7㎝。こちらもくるっと上にあげてかぶります。「BOXED HAT」はすべてペーパーブレードでつくられています。雰囲気やかぶりごこちがよく、型もつけやすい素材を厳選。
横からだとこんな感じです。お取り扱いカラーはミックスブラウンがメイン。グログランリボンは「104」ではちょうちょ結びになっていません。甘さ控えめ。

ボリューム控えめの「105」は女性だけでなく男性にもおすすめです。ブリムは4.5㎝、さげてかぶります。神戸に取材に伺ったスタッフ江上は３タイプからこれを選びました。

「BOXED HAT」の箱に箔押しの技術を使ってプレスされた「mature ha.」のブランド名やURL。きれいです！
箱の底には帽子の取り扱い上の注意がプレスされています。おしゃれなだけでなく、取説がどこかに行ってしまう心配もありません！海外からの受注も多く、英文も。

イオグッズの手さげでいちばんちいさなタイプにもすっぽり入ります。小さな箱なので、箱ごとでも入りました。すごい！

自然な折りじわできどらずかぶれる

「BOXED HAT」は何パターンかありますが、どれも箱から取り出して手でのばし、ふくらますようにしてかぶったとき、ちょっとくしゃっとした折りじわがついています。そのくずし加減がとても自然というかいい感じです。
「しわをデザインに取り入れたラフなスタイルの帽子が好きで、しかもそれならつぶして平たい箱に入れることも可能では、と結びついてできたのがこの帽子なんです」。
　帽子はまず高田さんたちがデザイン。それをもとに熟練した職人さんがブレード（テープ状に編まれた帽子材料）を専用のミシンでぐるぐると縫製し、「mature ha.」のアトリエに届けられます。その時点ではきちんと型入れした“型もの”の帽子です。その仕上げにほどよくくせ（折り目）をつけ、箱に入れる作業をしますが、現在それができるのはユキさんと勘のいい職人さんのふたりだけだそう。かぶったときにいい感じになるよう、ふくらましたりぺたんこにつぶしてもその感じが再現されるよう、そして小さな箱にちょうどよくおさまるよう。帽子を折り曲げるとき折り目が線で残らないようふんわり折り曲げるのがコツだそうですが、ほんとうにちょっとした手加減が大事なのだと思います。
「もともとシルエットにこだわって帽子をつくってきましたので、くずしつつも美しさは保っていたい」と高田さんたち。素材選びから仕上げまでひとつひとつにていねいな仕事をつみかさねています。

　今回イオショップ＆ギャラリーでご紹介する「BOXED HAT」は３種類。第2話ではそれぞれの帽子をa.の服とコーディネートしてご覧いただきたいと思います。ご期待下さい！