が初めて版画を制作したのは1998年。「友人が愛媛県松山市にギャラリーを開店し、オープニング展として私の原画の展覧会をしていただきました。一年後だったか2回目の展覧会のお話があった時、原画は1枚のみだけど版画なら同じ絵でエディション数分作品ができ、複数の人に買っていただけるので版画に挑戦しました。版画は摺り師さんにインクの濃さやかすれなどをまかせてでき上がるから、自分で紙に直接描く絵とは違う感じになります。それが私にはおもしろくて好きです。そもそも信頼できる白井版画さんと出会えたことが20年も版画をつづけてこられたわけなのです。摺っていただけてずーっと感謝しています」。
版画の技法は、白井さんが教えてくださり例えば銅版にニードルなどで線を彫って描いたり、特殊な素材を塗って描いてつくった版にインクを詰め、余分なインクを拭き取り摺って仕上げてもらってきたそうです。
今回は、1998年からこれまでにつくったさまざまな版画の中から選んだ作品を受注販売いたします。技法の違うもの、モノクロとカラー、モチーフも動物や生活道具など、30〜40点前後の版画を展示いたします。ぜひご覧にお越しください。
あたたかな −1998年制作
初めての版画展のために制作したシリーズです。「初めてで緊張感があり、売れるとか考えないでつくれたから、このシリーズは今みても自分ではいいなあ、と思います。版画をつくるうちにだんだん買って頂きやすいモチーフだったり、題材を意識してしまうようになってきましたから(笑)」と。このエピソードを聞いてから、年代ごとにみてみるとその変化を感じていただけるかもしれません。
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『自慢の靴』
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『街の帽子やさん』
北欧展 −2003年制作
この当時、北欧のものが流行っていて家具や食器などを、版画のモチーフにしたシリーズです。鮮やかな色づかいも目を引きます。
アルネ掲載広告用版画 −2003年〜2007年制作
2002年に創刊したの個人誌『アルネ』に、広告を掲載していたことがあります。その広告はスポンサーの商品などをモチーフに描きオリジナルでつくったもので、当時アルネ掲載広告用に制作した版画がありました。
アルネヤコブセン −2007年制作
「1970年頃だったと思います。東京に海外の高級なインテリア雑貨の店があちこちにできてきました。そういう店でアルネヤコブセンのカトラリーを買いました。映画『2001年宇宙の旅』で宇宙船での食事シーンに使われていたのがそれです。このことは後から知り、とてもうれしかった。’90年代に雑誌の取材で北欧に行った時デンマークでアルネヤコブセンのレストランに連れて行ってもらいました。そこでも同じ形のカトラリーでスパゲッティを食べました」
2002年に創刊した『アルネ』は、アルネヤコブセンが由来です。『アルネ』の発行部数が落ち着いてきた2007年に、アルネヤコブセンを題材に制作した版画です。
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『The ant』
額装サイズ 338×330×21㎜(縦×横×厚み)¥31,000+税
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『Wine glass』
額装サイズ312×294×20㎜(縦×横×厚み)¥29,000+税
Zakka展と雑誌の仕事 −2008年制作
原宿の『Zakka』さんで版画展をしていただいた時には、お店の雰囲気に合うようにと思いキッチンまわりのものをモチーフにしたそうです。当時、雑誌の仕事でも制作したのがグラスの版画です。
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『めしわん』
額装サイズ 324×305×21㎜(縦×横×厚み)¥30,000+税
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『記念日に』
額装サイズ 323×303×20㎜(縦×横×厚み)¥30,000+税
大橋歩の仕事 as life −2011年制作
『アルネ』で取材させてもらった方々の印象に残ったものをモチーフにしたシリーズです。
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『江面旨美さんのバッグ』
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『糸井重里ジャムおじさんのジャム』
いぬとねこ−2017年制作
ほぼ日さんが2017年11月に開催された『生活の楽しみ展』に出品するために制作した、いぬとねこを描いた版画です。「うちの子に似ている!」「こんなポーズするよね〜」というような声が聞こえ、他のモチーフとはまた違う見方があるのも楽しいシリーズです。
暮らしの道具 −2018年制作
こちらは2018年6月に開催された『生活のたのしみ展』に出品したシリーズです。が実際に使っている暮らしの道具をモチーフにしました。
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『手のついたざる』
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『ビタクラフトのなべ』
※版画は受注販売です。お渡しまで会期終了後1ヶ月半から2ヶ月ほど要する場合があります。また、エディションナンバー順の販売となり、数に限りがありますこと予めご容赦ください。
※今回の特集でご紹介している20点の版画は、東京店と京都店どちらも展示いたします。それ以外の展示内容については店舗によって異なります。