今日のわたし
おせっかいの戒めね、まったく

 友人の店が移転開店しました。地下1階と2階、2階の3層で、天井の高い明るいすてきなお店でした。オープニングの夜はそれはそれはにぎやかで、私、浮かれました。翌日になってもまだ浮かれ気分でした。たまたまその友人にあげる約束をしていた本を店員さんに預ける用もあったのでしたが、私、浮かれ気分を引っさげて、翌日またのぞきに行ったのです。
 表通りから一本奥に入った細い通りの店でしたから、客入りについて友人は少々不安といっていたこともあり、私が心配してもしょうがないのですが、気になっていましたし。でも数人の客がいたので、ほっ。こんなふうにおせっかいな私です。だから大変なことにもなっちゃったんだと思う。トホホホ。
 1階の店員さんに本を預けようとしたら、今、2階に友人がいるというじゃありませんか。2階には外階段で上がります。いったん外に出なければなりません。友人が帰る前に渡したいと、気持ちがあせりました。だから急いで出口に向かったのでした。あせったり急いだりしてはいけませんねえ。
 数人の女性がこちらに歩いてくるのが、ガラス越しに見えました。お客さんが来る、よかった‥‥‥そう思った(ほんとおせっかい)瞬間、私はガラスに激突していました。外の女性を見ていなかったらガラスに気がついたと思うんだ。
 さあ大変なことをしてしまった、新しい店にみそをつけてしまったと思いました。でも強化ガラスというんですか、分厚いガラスでしたから割れはしませんで、ほっ。ぶつかった反動ではじきとばされましたが、そんなことはたいしたことではありません。ガラスにひび割れもしなくてただただよかった、ほっ。
 それにしてもぶつかった音が大きかったんでしょうね。私が見ていた外の女性たちがびっくりして目をまるくしたのを覚えています。あ〜あ。
 よく見れば、曇りひとつない新品のガラスに私のキスマークがばっちりついていました。それはきちっと拭かねばなりません。ガラスに傷がつかず、拭きながらそればかりよかったよかったと思っていました。
 で、気持ちに余裕がもどって、気がつけば私の口の中が変です。特に歯が変です。
 それでもその場では何ごともなかったようにしていなければ、申し訳がありませんから、内心超不安でしたが、平静を装いました。
 一人になってそっと鏡をのぞいたら、ブリッジといって前歯から奥歯までつなげてある治療済みの左の歯が、おててつないで奥にずれていたのでした。だから歯は噛み合いません。また当然くちびるの内側も切れていました。さあ大変。というのは、2週間後に仕事で南仏に行く予定でした。
 行きつけの歯医者で応急処置をしてもらえることになり一応解決。
 実は、ガラス激突前後に小さなやけどをしたり、傷をつくったりしているのです。オーブントースターでやけど、開き戸のストッパーでひっかき傷、ドアノブで頭を打ってくらくら。私の体の危険回避のアンテナがどうも故障しているとしか思えないこのごろだったのでした。
 でも私、年だからねえとはいいませんの。なんでもかんでも年のせいにしていたら年とっちゃうもの。

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