今日のわたし
あれはセールスにひっかかったということなんだろうか?

 私は、毎朝配達される新聞に挟みこまれてくるチラシを見るのがわりと好きです。あれ結構社会勉強になるのですよ。例えば、不動産ので日本の経済状況を学び、美容エステのから今どきの女性の美の基準を知ることができますもの。
 ある日、ミシン販売店オープンのが入っていました。私ミシンを自宅に1台持っていますけど、仕事場にも欲しいと思っていたところでした。
 というのは、夏に展覧会の作品を一部布で作りましたが、開展の前日に飾りつけしたところ、筒状のひもの長さが足りなく仕事場にもどり、近くに住んでいる友人にミシンを借りて、縫い足さねばならなかったのです。
 友人のミシンはだいぶ古いもので、なんていうか使い慣れていないし縫いにくいのでした。ひえーとかぎゃーとかいいながら縫っていましたら、突然がしゃっといって動かなくなってしまいました。さーて借り物を壊してしまった。作品も作れなくなってしまった。困りました。手伝ってくれていた若い人に近くのミシン店に直しに行ってもらい、作品作りは自宅でということにしたのでした。その時仕事場にもミシンがあればいいなあと思いました。
 それでチラシにもどりますが、有名社ので、しかも定価5万円ぐらいもするものが、開店売り出しとかで9千なにがしを限定販売とあったのです。これを仕事場にと思ってそのチラシの店に即電話予約したのでした。限定販売だから早めにと思って。販売員が使用説明するので品物を持って行くということでしたから、古いミシンの持ち主の友人を誘いました。
 だって5万円のが9千なにがしで買えたらすっごい得じゃないですか。友人もそんなに安ければ買い替えもいいと思っているふうでした。販売員は中年の女性2人で来ました。むき出しの小さいミシンをかかえて。
 で、彼女たちはそのミシンで実演してくれて、ほらこれは直線縫いも上糸下糸の調整がむつかしくきれいには縫えないのよというのです。また厚物は縫えないともいうのです。たしかチラシには厚物も縫えると出ていたのにです。
 彼女たちはああだこうだといかにこのミシンがよくないかを漫才の掛け合いのごとくしゃべるのでした。そのうち私も定価5万円のことは忘れて、1万円でおつりがくるようなミシンなんだからそんなモノだろうなと思ってしまうのでした。
 それうまいセールスのながれなんですきっと。私が買おうと思ったのは、客引き商品だったというわけ。だって私それならちゃんと縫えるミシンてどんなの? といってしまっていましたもの。
 彼女たちは私の反応に、おいでなさった! てなものです。そして1人が車の中に用意していた高い値段のミシンを持ってきました。それからああ縫ってこう縫ってと私にレッスンさせるのでした。ね、いいミシンでしょ。28万だからねって。高ーいというと、18万円にまけるっていうの。
 で、買ってしまったのですよ。

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