今日のわたし
着るものはわたしということ




 たとえば卒業した学校の同窓会やクラス会に出席すると、久しぶりに会うもと同級生達に自分を今の姿で見せることになります。それで、出席するならちょっとはよく見せたいと思うじゃないですか。前日に美容院で髪を整えたり、風呂あがりにパックなどしてみたり、着ていく服やアクセサリーに悩んだりする。当日は念入りに化粧して、よそいきの服を着て、何度も鏡をのぞいて、これでよしというところで、鏡に向かって笑顔なんかつくったりして。
 あの人は来るかな? 男女共学だと、おさな心を寄せあった人を思い出す人もいると思います。がっかりされないように後ろ姿まで鏡にうつしてみたり。
 自分の装いは、考え方や生活や、教養や知性や意識を語りますのよ。
 前に他でも書いたことだけど、サウナ風呂に入っている時は誰でも裸です。メイクをおとして、髪もタオルで包んじゃうと、顔の造作と体つきしか見えないから、若いか中年か年寄りか、やせているか太っているか、顔のつくりがよいか悪いかは分かるけど、何をしている人か見ぬくのはまったくむつかしい。風呂からあがって、服を着ると、奥さんしている人か仕事をしている人か、お金持ちかそうじゃないか見えるのですねえ。
 そのサウナで、ある若くない女優さんと一緒になったことがありました。さすがぁ女優さん、裸でもちゃーんと自分を語ってる。で、あがって緑色のタートルネックのセーターに黒とグレーの縞のパンツに緑色のソックスを着用。うーん!
 おしゃれ! すてき! まいりました! きっと考えも生活もちゃんとしている人にちがいないと思いましたよ。
 装いは自分の内容や生活をしゃべりまくるのです。久しぶりに会う人にも口で説明なんかいらない程なのです。あゝ、こわ。

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