おしゃれは大事よ
また黒の上着を買ってしまったけど


 何故か黒い服を着ている人が近づくとほえる犬は、夫の黒のTシャツも気に入らなかったようで、チノパンツの膝のあたりから見上げて、はげしくほえたてました。山の家でのことでした。
 犬の目は白黒にしか見えないと聞きます。子どもの頃赤いスカートをはいていてお尻をかまれましたが、赤色が刺激になったのではなく、走って逃げた時にスカートがゆれたから興奮させたらしい。
 人間には色が見えるから、ゆれるものに対してはさほど敏感ではないように思いますが、色が見えないというのはどんなでしょうね。
 色が見えるので白や黒もよいと思えます。
 明るい陽ざしの下で黒のスリップドレスは白のスリップドレスと同様すっきり涼しそう。
 私の服は黒が多い。ある方が日本人には黒は似合わないとおっしゃっていたと聞いた時、そういう方には私はさぞかし悪い印象だろうなと思いました。
 私が黒い服を好んで着るようになったのは、'75年あたりのソニア・リキエルの服からです。それまでは、茶、赤、黄、緑、紺といろんな色の服を着ていました。黒いスカートと同様、スカートのうちのひとつでした。それが黒服の流行もあって、どっぷりつかって20年もたちます。なんとか黒からぬけ出そうとしたこともあったのですが、のがれられませんでした。まさにのがれられないという形容がぴったりの黒服と思います。
 黒は全部の色をまぜた色だから魅力的とおっしゃる人もいます。黒は自分という色をも包んでしまうので、安心して着用できるのでしょうか。だから私のビジネスウェアです。
 私は山の上の家では、ぜったいに街では着ない赤やブルーを着ています。その方が気持ちいい。リラックスできるのです。

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