「アンティパスト」のにあう人
自分にはむり、と思っても、だれかがみにつけていてすごくにあっているのを見ると、いいなあと思ったり気になりだすことはありませんか。大橋にとって、「アンティパスト」の柄ものの靴下との出会いはそんなふうに始まりました。
「『クロロ』とカフェ『横尾』をなさっている横尾光子さん。『ギャラリーフェブ』の引田かおりさん。お会いするといつもかわいい靴下をはいているので、ある日『どこの?』と聞いてみたら『アンティパスト』と教えてくれたんです」(大橋)。
ふたりとも「アンティパスト」を扱うお店がまだ少なかったころからのファンで「どこそこのお店で(お互いの)好きそうな柄を売っていたよ」と情報交換もしていたそう。
「おふたりともよくにあっているんですよ。横尾さんは小柄だけれどすっきりぴりっとしているから、柄の靴下をはくと足元が光ってかわいい。引田さんはプロポーションがよくて、雰囲気もすてきで、いろんなものが着こなせる。だからといって柄ならなんでも、かわいいならなんでも、というのではなくちゃんと選んでいらっしゃる。にあっているのは、ご自分のことを知ってらっしゃるからなんだと思う」と大橋。
自分はといえば背が小さくて頭が大きいから、足元にポイントをつくるとばい菌みたいになってしまう。だからできるだけ目立たないようにと、はくのは黒や紺の無地の靴下ばかり。しぜん柄もの、色ものには目が行きませんでした。でも、ここにきてアンティパストの他にも『大人のおしゃれ7』で取材させていただいた竹崎さんの、ポール ハーデンの靴と色ものの短いソックスの組み合わせにはっとしたり、a.の展示会場でレッグウォーマーでかわいらしくおしゃれをしている女性に出会ったり。面積はちいさいけれど靴下ってすごい、と思うことが続いたのです。
a.のオリジナル靴下も
「アンティパスト」の靴下展を開催したいと思ったのにはもうひとつ理由があります。実は昨年から始めたa.オリジナルの靴下も「アンティパスト」でつくってもらっていて、それがとてもいいという実感があったのです。
足元が心地よいかどうか、決まっているかどうかはその日一日の気分に大きく影響します。納得の行く靴下の日はいい気分。足元は目立たなくしたい場合もそれは同じです。黒や紺の無地ならいくらでもありそうなのですが、はき心地や質感、これ!というものがなかなか探せません。
「だったらa.でつくろうと思いました。でもどこに頼もう?」。うかんだのが「アンティパスト」でした。大橋にとって「アンティパスト」は柄ものの靴下という以前に、故・高田喜佐さんが「KISSA」の靴下を発注していたブランドでもあったのです。
「あそこならいいものをつくってもらえるに違いない」と思ったといいます。
「普通のなんでもないシンプルな靴下をつくりたい」。そう依頼して使う糸の種類や色、長さなどにアドバイスをいただいて完成したa.の靴下はすべて無地。春夏ものが、黒、紺、赤、グレーの4色。秋冬物が黒、紺、赤の3色で、それぞれ1足2,400円+税、2,600円+税。靴下にしては高いので、じゃんじゃん売れているわけではありません。でも、いちどはいてリピートしてくださる方が多いアイテムでもあるのです。(その理由は第2話でお伝えしたいと思います)。
「柄ものも無地もどっちもいい。でも「アンティパスト」さんだけのお店はない。ならば一堂に見ていただくのはどうだろう」。そんな願いがイオギャラリー&ショップで実現することになったのです。