同じものはないかも
この斜めがけバッグの本体は、ラグビーボールをぺしゃんこにしたような、表4枚、裏4枚計8枚の同じ形の布をはぎ合わせてできています。他に幅10㎝の太いショルダーが表裏で計2枚。それにファスナーと縫い糸の色をあわせると計10パーツ。かたちは同じですが、今まですべてのパーツが同じバッグは、「注文された以外ではつくったことがないかもしれませんね」と藤田さん。
同じ紺でも綿としゃかしゃかした布をあわせてあったり、4枚のうち1枚だけ違う色だったり。ひとつひとつの布の色も鮮やかでぱっきりしていますが、組み合わせることでより引き立て合うよう。色合わせ・布合わせはこの斜めがけバッグの大きな魅力、そして個性になっています。
今回のイオショップ&ギャラリーにも20点ほどが並びますので、ぜひご覧いただけたらと思います。
辻和美さんのアドバイスがきっかけ
藤田さんは10年ほど前からバッグをつくっていますが、ずっとその中心は運針というか、ステッチをいかした1点ものでした。
「かたちも柄もひとつずつ自由につくっています。ステッチは時間がすごくかかるでしょう、と言われるんですけれど、かかった時間は楽しく過ごしているし、軽い感じがでるようにしたいと思って」。そう話す藤田さんのバッグはいつも大人気。制作が追いつかないような状態でした。
斜めがけバッグをつくるようになったのは数年前。「ファクトリーズーマー」を主催するガラス作家の辻和美さんとの会話がきっかけだったと言います。
「辻さんからは全て1人で仕事するのではなく、チームで仕事をするのもいいのではないか、量産できる定番になるようなものと、展示などで特別につくるものの両方があるといいのではないかといったアドバイスをしてもらいました。辻さんは私にとっては尊敬する先輩で、その言葉が響きました」と藤田さん。
そこでイメージしたのは自分が好きなバッグ。声をかけたのは学生時代からの友人でずっと縫い物の相談などにのってくれていた渡邉知栄さん。ふたりのチームワークがスタートしました。