水のしずくを指に
イオショップ&ギャラリーに「今年もガラスのアクセサリーを販売しますか?」というお問い合わせをいただくようになると、スタッフは夏もいよいよ本番、と思うようになりました。楽しみにしてくださっている方も多い
廣田理子(あやこ)さんのアクセサリー、3回目を迎える今年は新作がたくさん揃っています。
そのなかから最初にご紹介したいのは、大きなガラスがひと粒ついた指輪です。まんまる、べたまる、ちょっと四角、いろんなかたちがありますが、つけると指にちょこんと水滴がのっかっているような、涼しげな、そしてなんとも不思議で楽しい気持ちにさせてくれる指輪です。
「今回は水で自然を表現したい、水分を含んだ植物のみずみずしさや生命力をかたちにしたいと思いました」と話す廣田さん。葉っぱにたまっている朝露、雨後の水滴、なかでもサトイモの葉っぱに転がる大きな丸いしずくが大好きだそう。今回の指輪はそれらをイメージしたもので、水滴をあらわすガラスの透明感はもちろん、ツメや、リングの部分にもこだわったと言います。たしかに、ガラスの水滴だけが浮き上がって見えるつくりです。朝露を見ていて飽きないように、指輪を見ていて飽きることがありません。
ややぺたんこの水滴が前に飛び出るようについています。¥6,000
これは台形をしていて、指につけたときになじみます。¥5,800
ガラスだけでできた、フロストがかった氷のイメージの指輪です。¥7,000
つぼみや葉っぱのネックレス
ネックレスにも植物の葉や花のつぼみ、水からインスピレーションを得てつくったガラスのビーズが使われています。
「家で育てている朝顔やゴーヤーのつぼみといった具体的なモチーフもありますが、開いていくときのつぼみの水分を帯びた感じや力強さを伝えられればと気持ちのおもむくままにつくりました」。そんな廣田さんの願いと、溶けて自由に波打ち、ある瞬間を止めることができるガラスという素材は、きっととても近いところにあるのだと思います。
ご自身がずっとかたちにしたかったというユーカリの葉のネックレスやピアスも届きました。半分透明で半分フロスト(つや消し)の葉っぱは薄く、ふわりと自由に羽ばたいていきそうです。
シルクレーヨンでつくった極細のひもを使ったループタイタイプのネックレス。各¥7,500
ガラスのパーツはなるほど、朝顔のつぼみのかたちをしています。夏の朝、今日は咲くかな?と、わくわくして見た子どもの頃の記憶が蘇りました!
a.の
ガーゼ天竺セットアップのタンクトップとあわせてみました。Vゾーンの重なりがきれいに見えるよう、ガラスの位置を調整して。
ガラスのつぼみが5つついているネックレス(左・¥30,000)と、ガラスに葉脈を浮かび上がらせたデザインのネックレス(右・¥22,000)。
a.のモノトーンのコーディネートにボリュームのあるネックレスが映えます。
a.の
後染め定番ワンピースにネックレスをあわせました。紐は黒×白。紐の結び方やガラスの位置を変えると雰囲気がかわります。
廣田さんが長年つくりたいと構想していたユーカリの葉っぱのアクセサリー。ワイヤーの使い方にも動きがあって涼しげです。¥22,000
薄いガラスの葉っぱです。片方がフロスト、片方が透明。小さい葉っぱもあります。
リリヤンや刺繍糸を使って
廣田さんのアクセサリーはガラスをつなぐ紐やそのつなぎ方にも特徴があります。今回活躍しているのは懐かしいリリヤン編みです。ご存知の方も多いと思いますが、リリヤン編みは中が空洞で長さは自由自在。廣田さんはビーズの一種として使っています。ころっとさせたり、ながーくしたり。中にワイヤーを通してネックレスに使ったり、ゴムを入れて指輪にしたり。糸のつやや発色もとてもきりっとしていて、ガラスにぴったりです。
「市販の道具で編むリリヤンでは太いので、爪楊枝などを使って道具を自作しました。でも、いい感じにできて嬉しい発見でしたね」。
身近にある自然を観察したり、幼い頃に親しんだ手芸からヒントを得たり。どこか日本の夏休みのイメージが重なる廣田さんのガラスのアクセサリーですが、すっと大人が身につけるものに昇華されています。
長年ご実家の庭に工房を構え、そこに通って制作していましたが、今年から家族と住む家に工房を移しました。窓から見える景色に今までのような大きな木はないけれど、曾祖父の使っていた大きな机を譲り受けて入れたら、工房の空気がぐっと変わったそう。差し込む日光が限られるようになった分、以前より意識して光をとらえるようになったとも言います。新しい場所で生み出される廣田さんのガラスの作品、これからが楽しみです!
リリヤン編みをビーズのように使い、四角いガラスと組み合わせてつくったネックレス。写真は赤ですが、黒もあります。¥18,000
ガラスの横に紐通しの穴があったり、ガラスの上から紐をかけたり。ディテールが楽しい。
透明なガラスと赤のネックレスはシックにもカジュアルにも使えそうです。
小さなガラスのパーツを、刺繍糸を巻いてつくった細い紐でつなげたブレスレット。紺や水色、涼しげな色あいが揃っています。各¥12,000
廣田さんのガラスのアクセサリー展は8月1日~8月31日まで。
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取材:田中真理子