新聞紙が犬に
20代、雑貨屋でアルバイトをしていたときにディスプレイ用にこしらえた犬のオブジェは、梱包材として段ボールに詰められていた英字新聞を使ったもの。「店のオーナーが得意なことをさせてくれたのがありがたかったです。接客よりディスプレイやお客さんに渡すフリーペーパーつくりの方が向いてるだろうって振ってくださった」。
それがスタイリストさんの目に止まったのが、今に至る大きなきっかけになったと言います。
やがて新聞紙でつくった動物たちは、服地を使ったぬいぐるみに変わって行くのですが、不用品萌えは継続。そしてもう一つ変わらないのが、金森さんがつくる動物たちの表情に共通する雰囲気です。
情けない感じ
「よく情けない顔をしていると言われます。弱っちい感じ、とも。それは多分、私自身が情けない感じが好きというか、『元気ですっ!』という人にはあまり魅力を感じなくて、眉毛が下がっている人の方に近寄って行っちゃうようなところがあるからだと思います」と金森さん。
ああ、なんだかわかるような気がします。元気が全面に出てまわりを疲れさせる人っているし、情けないところがあるけれど一緒にいるとゆるゆるっとできていい、そんな人もいます。
ぬいぐるみをつくる過程で一番悩むのは顔、特に目だという金森さん。きっと自分の好きな「情けない」について思いを馳せ、「情けない」に秘められた力がちょうどよく伝わる位置や角度はどこなのか? ずっとその答えを探し続けているのだと思います。
さて、今回展示するぬいぐるみは、全部でおよそ23点。特集ではその半数を今回・次回にわたってご覧いただきます。
ぬいぐるみはすべて一点もので、先着順にお選びいただけます。ただし、お一人様一点となりますこと、ご了承ください。価格は3万円台が中心です。
また、今回はご購入後も会期中は展示させていただきたく、お手元に届くのは会期終了後となりますことも合わせてお願い申し上げます。