この春復刻発売となったオールラバーの「KISSA SPORT JAUNE(ジョーヌ)」です。ジョーヌはフランス語で黄色の意味。喜佐さんが好きだった色です。ロゴをプリントしたラベルに黄色を使っています。
1987年発表した、けしの花が甲にぽん、とついたオールラバーシューズの復刻版。レッド、ホワイト、ブラックの3色。サイズはS(22.5)、M(23.0)、L(23.5)、LL(24.0)。各¥15,000+税
花と渦巻き
デコレーションケーキの飾りのような花や、金色や白のグルグル渦巻きがついた靴。全部ゴム(ラバー)でできた靴。白や黒だけでなく、水色や赤の靴。最初にキサスポーツ(KISSA SPORT)の新しい靴の写真を見て、この特集担当は、ちょっと驚きました。今まで見たことのない、インパクト。靴というより、オブジェのようだったからです。
「こんな靴があるんだ!」。おもしろい。でも、これってどう履くの? 服とあうのかな? 履き心地はどうなんだろう?
高田喜佐さんデザインを復刻、限定発売
キサスポーツは、シューズデザイナーとして活躍した故・高田喜佐さん(1941-2006)が1977年に立ち上げた靴のブランドです。喜佐さんがイメージし、そしてつくったのは、素足に似合う、キャンバスやゴムを素材とした、おしゃれな“大人のズック靴”。それはまず、当時主流だったストックキングやパンプスに違和感を感じていた女性たちの大きな共感を得、その後も時代を超えて愛されてきました。
喜佐さんが亡くなられた後、キサスポーツは一旦生産を終えてしまったのですが、ファンの方々のリクエストに応え、2014年より喜佐さんのデザインを復刻、尊重するかたちでブランドが復活しました。
イオショップ&ギャラリーでもそれにあわせて「
キサスポーツの靴展」をさせていただいており、今年の展示は2度目。その注目アイテムが、最初にご紹介したラバーシューズなのです。
花も渦巻きも、喜佐さんがかつてデザインした靴の、限定数復刻モデル「KISSA SPORT JAUNE(ジョーヌ)」となります。
足をきれいにみせてくれる
復刻モデルを写真で見た数日後、実際に靴をお借りしてスタッフで試着をし、この特集の撮影をしました。そうしたら、最初に書いたような不安はどこかへ消えていきました。今回2度目の驚きです。
花も渦巻きも、甘くなくて大人っぽい。それでいてはくと「見て見て!」と子どものような気分になるのです。どこにもない、存在感のある靴だけれど、靴だけ目立ちすぎるかというとそんなこともない。甲をすっぽり覆うデザインは、はいていて安心感があり、足をすっときれいにみせてもくれます。a.とのコーディネートもいい感じです。
靴底、甲、コバ、かかとのストラップまでもががゴムで、なおかつ一体化しているズック靴には、ちょっとくすっとしてしまうユーモアがあります。花や渦巻きの成形は手作業なので、ひとつひとつ微妙に違う。それがまた楽しいいのです。そして肝心の履き心地も、大丈夫でした。
「底がしっかり厚みがあって歩きやすく、本体は柔らかいゴムなので足にやさしい」と試着したスタッフ。内側に布貼りがしてあり直接肌にゴムが触れることはないので、肌触りもさらっとしています。
新しい靴として履く
イオグラフィックには「キサスポーツ」が誕生した頃はまだ生まれていなかったスタッフも数名います。彼女たちも今回実際はいてみて、「キサスポーツ」の楽しさを実感することになりました。それで思い出したのが、以前に大橋から聞いたことでした。
「『キサスポーツ』の靴は愛用していた方が多かったから復刻を歓迎する方は多いと思います。でも喜佐さんのような発想の靴はその後出てきていない。セレクトをちゃんとしていけば、若い人たちも、新しい靴としてはいてくれるのではないかと思います」。