障がいのあるなしにかかわらず
「
しょうぶ学園」は鹿児島市近郊にある、知的障がい者施設です。大橋は取材を通してその存在を知り、これまで『
大人のおしゃれ』で紹介させていただいたり、東京駒沢の
イオショップ&ギャラリーで『
しょうぶ学園nuiプロジェクトのシャツ展』を開催させていただいてきました。
園生の方たちの生みだすものがすばらしく、人を元気にし、喜ばせる力を持つと思えたし、園を運営する方たちの感覚や向かおうとしている方向、そして行動力に心を動かされたからです。
大橋は2度ほど「しょうぶ学園」をお訪ねしたこともあります。大きな木々に囲まれた敷地には、住宅棟や工房がゆったりと建てられ、おしゃれなカフェやギャラリー、ショップもあり、町の人の出入りも自由。「とにかく感じがよくて、ずっとここにいたくなる、気持ちのいい場所でした」(大橋)。
園生とスタッフの表現
そんな「しょうぶ学園」でつくっているものは、木、布、糸を使ったもの、陶芸など多岐にわたりますが、どれも園生(利用者さん)たちと、そこで働くスタッフ(職員)たちの表現のたまものです。
利用者さんたちは園内の工房で、いろいろな手段で自由に表現。スタッフたちはその自由を見守り、そして利用者さんたちが表現したものを活かすべく、商品化に向けてそのセンスを発揮しています。どちらが欠けても園の中と外がつながりができない。そんな経緯だからこそ、どのアイテムからも楽しさが伝わって来るのではないかと思います。
今回イオプラスで展示販売させていただくのは、ブローチ、Tシャツ、そしてエコバッグ。第1話では木と陶芸のブローチを紹介させていただきます。
堂々としている木のブローチ
木のブローチは木工の工房でつくられています。利用者さんたちがノミを使って彫った板を、職員がブローチの形にカットし、表面を磨いて色を塗ったものと、漆仕上げをしたもの、2タイプがあります。大中小とサイズがありますが、小さい円でも直径6cm以上。どれも堂々としてインパクト大。
実は今シーズンのa.の「
まるつきシャツ」の「まる」はこのブローチがヒントになってできたもの。大橋自身が好んでよくこの木のブローチをつけていて、そこから襟とブローチが合体したシャツが発生したのです。
表面に何が彫ってあるのかな、とよく見るとカタカナだったり、つんつんした形だったり、線だったり。利用者さんたちは自由に彫り作業をするので、どんな模様が生まれるか毎回わからない、それが職員にとっては楽しみだそう。板からブローチをつくるときは丸、楕円、四角、三角などの型を使っていますが、研磨作業などをほどこすため、ひとつずつ微妙にかたちが異なります。
使っている木材は、ヒノキやセンダン、クスなどですが、漆仕上げのほうは、その木目もわかります。