特集竹崎万梨子さんのストール展

　明後日から始まる展示に先駆け、竹崎万梨子さんのストールをご覧いただいている特集。第2話では、今回展示する中から12枚を選び、それぞれの制作過程の写真を交えながらご紹介していきたいと思います。
　弾力、しなやかさ、柔らかさ、滑らかさ。それぞれの原毛の持ち味を生かし、エネルギッシュかつシンプルに仕上ったストールは、どれも一生ものになる予感がします。お忙しい時期ですが、どうぞイオショップ＆ギャラリーにてご覧いただきますよう、お待ちしております！

　最初に紹介したいのは「首元にちょこんと元気シリーズ」から、今年注目のオレンジです。オレンジは3色あり、第1話でご紹介したのは、真ん中。透き通るよう鮮やかな色です。

こちらは朱赤に近いオレンジで、ピンクの糸も使っています。首にぐるぐるっと２回巻くと先がピョンと跳ねるのですが、そこにピンクがちょこんとのぞくのです。素材はシェットランド。

竹崎さん曰く「節句の桃色」のピンク。色はいろいろなニュアンスのピンクを混ぜ合わせてつくり、ふっくら柔らかに糸を紡いで織りました。紺色の導き糸をそのまま残しているのにもそそられます。素材はシェットランド。

「首元にちょこんと元気シリーズ」の青も、よーく見るといろいろな青が混じり合い重なり合っています。ボリューム感の出る綾織りと、軽やかに巻ける平織りの２種類。素材はシェットランドの子羊のフリース。柔らかで弾力があり、シェットランドレースに使われる貴重なものです。

深くて透明感のある赤を意識してつくったという色は、冬の日差しにとても映えます。幅40cm、長さも少しあるので、写真のようにゆったりと巻くといい感じ。男性にもおすすめです。素材はシェットランド。

ネイビー×グリーンの大きなブロックチェック。ベーシックだけれど、鮮やかで深い、大人の色のストールになっています。素材はシェットランドとメリノのミックス。51cm×197cm。

ネイビー×グリーンのブロックチェックは正方形に近い大判の、スカーフのようなストールもつくりました。写真のように角を前にしたり横にしたり。いろいろにアレンジできます。107×115cm。

第１話でもご覧いただいた、ブルーフェイスレスターのナチュラルな白のストールです。光沢があり、しなやかかつしっとり。身体を包むとうっとり。写真は山形斜文織りで43×190cm。平織り（46×196cm）もおつくりしています。

きりっと上品な杉綾のストール。やさしい白はナチュラルカラー、明るい茶色はくるみで染めています。ピットアイランド島の羊とシェットランドの子羊のフリースをミックス。50.5×198cm。

こちらもピットアイランド島の羊とシェットランドの子羊のフリースのミックス。同じ素材で白×ネイビーもあります。どれも色合いはもちろん、ふんわり柔らかな巻き心地も魅力です。52×184cm。

モンゴルを代表する原種の羊「空飛ぶ羊」は、品種改良された羊と違いケンプ（硬く、空洞のある毛）が多く扱いが大変。でもそれゆえ空気を含んで暖かかったり、雨をはじいたり。厳寒の地で生きる羊が、竹崎さんの手を経て、日本でタフでエレガントなストールに生まれ変わりました。81cm×204cm。

同じモンゴルの、こちらはヤクのストール。原毛には土やホコリが絡まり混じっていましたが「モンゴルの大地を乾いた土の様子を感じながら糸にして織っていった」と竹崎さん。ケンプをあえて少し残したストールは、ワイルドだけれど、ちゃんと滑らか。83×197cm。約50センチ幅もあります。

貴重なウエリッシュマウンティン羊のなかでもなかなか手に入らない黒（こげ茶）。しかもとても弾力があり滑らかな毛質だったので、それを生かした大判をつくりたかったそう。コートのようなストール。身を包んだとき安心感があります。

※今回展示させていただくストールは45点ほどで、すべて１点ものとなりますこと、ご了承ください。また、価格帯は¥38,000〜¥180,000（税別）を予定しております。
※竹崎さんは会期中在廊予定です。

　12月も残すところあとわずか、この特集もこれが今年の最後となります。１年間ご覧いただき、ありがとうございました。
　皆様におかれましては、良いお年をお迎えください。来年もよろしくお願い申し上げます。

取材：田中真理子