「entoan」の櫻井さんとつくった革のバッグ、最終話は実際使ってみての感想をご紹介します。ご購入くださった方やスタッフに聞いてみました。
まずはイオグラフィックのスタッフの庄子の話です。庄子は、黒のトートのサンプルをもらいうけ、試用と実用をかねて使い始めて2年になります。主に通勤用ですが、いちばん気に入っているのは肩にかけても、腕にかけても、手で握っても、持ちやすいことだそう。
「電車の中で混雑している時は手で持ち、すいている時は肩にかけて持てるので助かります。手で持ってぶら下げても床に着かない長さなのも、私にはちょうどいい」。
庄子は身長154㎝と小柄なタイプです。でも、今回お話を伺った人全員がハンドルの長さについて同じ感想でした。また、「ハンドルの幅が細めで、ほどよく柔らかいのも持ちやすさの理由」というのも共通した感想。確かにハンドルが硬かったり幅広だったりすると長時間持つうちに手が痛くなりがちです。
「でもこのトートは大丈夫。たくさん入るのでついついものを入れてしまうのですが、不思議と重さが柔らかく体に伝わる感じなんです」。
最近はダイエットのためリュック通勤が増えたけれど、最初の1年半はほぼ毎日このトート。最初は真新しかった革が使い始めて1ヶ月ほどするとどんどん柔らかくなってきて、手になじむようになってきたそうです。
「これからもさらに味のあるバッグになればいいなと思います」。
今回登場していただいた中で最年少の25歳。介護の仕事をしています。これは革のトートがペタンコのとき。入れるものがない時はマチ付きよりすっきり持てていいそうです。ハンドルについているのは「sunui」のボンボンアクセサリー。シンプルだから映えます。
いれるものに合わせて自然とマチができて、中のものも安定。革のいいところです。重くなると肩に担ぎます。ハンドルの幅は2㎝。返し縫いをしているのであたりも柔らかい。
船曳(ふなひき)萌子さんが使っている黒のトートはもともとはお母さんのもの。「いいな」と思って時々借りるうちに今は萌子さんが持つことの方が多くなったと言います。
「ぺたんこの、何の飾りもない革のバッグってあまり見たことがなくて、おしゃれでいいかも、と思ったのが最初です。で、『ちょっと貸してね』って。でも使ってみたらぺたんこなのにすごくものが入るのでびっくりしました。幅のあるものを入れるとそれにあわせてマチができるというか。お弁当なんかも安定して収まっているのは革だからかな」。マチのない布の手さげだと気がつくとお弁当や水筒がすべって横になっていたりするけれど革はそれがない、と萌子さん。休みの日はぺたんこで、仕事の時はマチありで、と2wayで使い分けているようです。
「帰りがけに母から『牛乳を買って来て』と頼まれても2本ぐらいは入る。肩にかけられるので、重さもさほど気になりません。かごも大好きですが重くなったときはこちらのほうがラクですね」。
萌子さんは持ち手のところに入ったステッチも好きだそう。セレクトショップでみつけたチャームをつけて楽しい感じにして持つこともあるそうです。
「手さげが大好きで、でもずっと帆布やビニール製専門だったんです。丁寧に持たないし、いろんなところにすぐ置くから洗えるものがいい。イメージ的にも革のバッグは自分には重いような気がしていました。でも最近布やビニールの手さげが、あれ似合わない、と思うことが出てきたんです。ちょっと軽いかな、って。歳のせい?と思うとさびしい気もするけれど、逆にそろそろ革のバッグを持ってもいいのかも、と思って探していたんです」。そう話すのは50代のMさん。そんな時にa.の革のトートを知り、イオギャラリー&ショップにでかけて実物を見て買うことにしたそうです。
「いちばんの決め手はシンプルなかたちです。実はセリーヌのカバも狙っていたのですが価格も高いし、ちょっと私にはおしゃれすぎるかも、と踏み切れないでいたんです。a.のトートはもうちょっと実用的というか、安心感があるというか。そこが自分にはあっているように思いました」。
色は赤。普段着る服が紺・黒・カーキ・白で、それに似合うこと。またアクセサリーやスカーフをほとんどしないMさんにとってはバッグがアクセサリーがわり。赤を選ぶことに迷いはなかったそう。
「実際使ってみてびっくりするぐらいいいのがポケットなんです。大きいのがふたつついていて収容力があって出し入れしやすい。急いでいる時って、とりあえず財布や老眼鏡や携帯をつっこむけれど、ポケットにつっこめるんです。バッグの底を探すことがなくなりました。そのことでバッグのスペースがすっきり。使いやすいから自然と出番が多くなって、使うことで革の色あいも落ち着いてきたように思います」。
吉田悦子さんは昨年秋の「大人のおしゃれ6」のヘアスタイル特集に出ていただいたのがきっかけで、革の赤いトートを買ってくださいました。ひかれたのは赤の色です。
「赤が好きなんですが、赤といってもいろいろあって、なかなかいい赤には出会えないんですね。でもイオギャラリー&ショップにディスプレイしてあったトートはすごく好きな色だったんです。だから、お店のストックルームにしまってあるのじゃなく、この、飾ってあるのをください、ってお願いしたんです」。
そんなわけで吉田さんのトートは最初からちょっと使い込んだ感じの赤。紺色のアイテムが多いという服装にすっとなじんでいます。
「今はまだ買ったばかりなので、持つだけで楽しい。先日は旅行に持って行ったんです。そうしたら立ち寄った和菓子屋さんで熱いお茶をわあっとこぼされてしまって。『服より大事なバッグなのに』、とショックだったんですけれどすぐに拭いたらなにごともなかったような様子なんです」。改めていい革だなあ、と思ったと吉田さん。たくさんいれても型くずれもしなさそうだけれど、しばらくは四角のきちんとしたかたちや、使ったら布の袋に大事にしまうことを楽しみたいと言います。
さて、最後に、紹介したいのはa.でつくっているもうひとつの革のバッグ、ショルダータイプです。前話でもお伝えしましたが、こちらも櫻井さんと大橋が試作を重ね、1点ずつていねいに「entoan」の工房で制作している自信作です。
これまで、ギャラリー&ショップのみでの販売でした。なかなかみなさんに見ていただく機会がありませんが、今回、年齢、背格好もさまざまなスタッフが使っている様子を撮影したのでご覧ください。
基本は斜めがけ。13インチのノートパソコンも軽々とおさまるサイズでとにかくものがたくさん入ります。それで重くなっても斜めがけだと負担感がありません。だからたくさん持ち歩くものがある人にはおすすめです。
ハンドルが太いので、男性にも似合います。カジュアルな服装はもちろんですが、柔らかい雰囲気の服装にあわせてもミスマッチというか、きりっとした感じになるのでおすすめです。持つと元気になれるバッグです。
3月27日午前0時頃より、a.の革のトートとショルダーをネット販売させていただきます。
バッグの詳細はこちらをご覧下さい。
革のトート
革のトート−2
革のショルダーバッグ
取材:田中 真理子